【感想･おすすめ要素】ちぎれる首輪

【絶対服従の従順な犬×女王気質なご主人様】

オス犬を発情させるフェロモンを持つ充と、彼に「飼育」される青年・ハチ。
特殊犬訓練所の跡継ぎである充の元に、口輪を嵌めた男――ハチが突然連れてこられた。
彼は完全に「人」の見た目をしているが、なぜか「軍用犬」としての訓練を受けているという。

幼い頃から体質のために犬に襲われ続けてきた充だが、犬のように主人に従順でありながら「人」であるハチには容易く心を許していく。
しかし、ハチが「犬」として躾られてきたのには理由があって――。

――飼い犬が望むのは、獣としての“交尾”か、愛のある“セックス”か。
ビーボーイコミックスDX

同時収録作品

epilogue

あとがき

概要

ジャンル	人間ドラマ～ファンタジー
トーン	シリアス
エロ度	標準的
修正*	白抜き
場所	？
時代	現代
重点	ストーリー
エモーション	切ない
ページ数**	223p.

* ** 電子書籍シーモア参照。修正の呼称は上図。
** 表紙含む総ページ数。

BLの館独自評価

ストーリー	★★★★☆
ラブ度・心情描写	★★★★☆
キャラクター	★★★★☆
絵	★★★★★
背景	★★★★☆
インパクト	★★★★☆

カップリングと登場人物

攻

ハチ（「軍用犬」の訓練を受けた／充に飼われている）
健気攻め｜執着攻め｜寡黙攻め｜ワンコ攻め｜人外・獣

充に飼育される青年・ハチ。完全に人の見た目をしているが、なぜか「軍用犬」としての訓練を受けてきた。犬のように従順で、訓練を積んだ軍人のように有能。現在は充と共に、特殊犬訓練所で犬達の訓練をしている。充の指示には命を賭して従う。充に関することになると嫉妬深い。

受

犬山充（特殊犬訓練所跡継ぎ／犬を発情させるフェロモンを持つ）
黒髪受け｜トラウマ｜淫乱受け｜女王様受け｜美人受け｜ほだされ受け｜誘い受け

オス犬を発情させるフェロモンを持つため、幼いころから犬に襲われ続けてきた。こんな体質なのに、特殊犬訓練所の跡継ぎ。
あるとき特殊犬訓練所に、見た目は人間のハチが口輪を嵌めて連れてこられた。特殊な体質のために犬を遠ざけてきた充だが、見た目が人であるハチには心を許していく。

脇役・当て馬

ケンちゃん

充のセフレで、充が跡を継ぐ特殊犬訓練所の所員。ハチの前でNTR的なプレイを行う描写があり、当て馬的存在ではあるが、充の幸せを喜ぶ一面もあるいい奴。

ストーリー紹介

絶対服従の従順な犬×女王気質なご主人様

オス犬を発情させるフェロモンを持つ充と、彼に飼育される青年・ハチ。

ハチは人の見た目をしているが「軍用犬」としての訓練を受けてきた。
特殊な体質のせいで幼い頃から犬に襲われ続けてきた充は、犬のように主人に従順でありながら、見た目は人であるハチには心を許していく。

あるとき充は、ハチの体の一部が犬であることを知り、犬に襲われた記憶が蘇ってしまう。そのためハチを強く拒絶するも「充の傍にいたい」と懇願するハチ。

ハチを求める自分の気持ちが怖くなるのと同時に、ハチの気持ちを試したくなった充は、ハチに辛い行動を繰り返してしまう。

感想・レビュー

危うい主従関係が、葛藤と模索の末に行き着く先は？

人の見た目をしているが、軍用犬として訓練を受けてきたハチ。ハチは人なのか犬なのか。オス犬を発情させるフェロモンを持つ充は、ハチを警戒しながらも傍に置いている。

ハチが充を求め、仕打ちに耐える様子に対し、痛々しい・可哀そうという感情が勝るか、愛しい・萌えるという感情が勝るか。

本作『ちぎれる首輪』には、

ここはネタバレ

獣〇シーンが描写されたり、キャラクターの身体の局部だけが犬だったりする（電子は白抜きで局部は見えない）。
それともう一つ、描写はないが充を襲った犬を繰り返し処分するという内容が含まれる。

これらが苦手な人はどうしてもダメな様子。恐らくここがクリアできないと楽しめない作品だろう。ただし、逆に衝撃作が見たいという目的を持って読んでしまうと、衝撃的なシーンを押し出す作品ではないためミスマッチを起こすと思う。ここは純粋に、上記をクリアできる人がストーリーを楽しむつもりで読み始めるのが吉。

わたしの場合は無地雷なので、充の残酷な仕打ちも愛の表現に見えたし、あらゆる言動がＳとＭの精神的な交流に見えたから、終始ラブラブに思えた（けどこれは特殊な感想かもしれない）。

先に触れた通り、トラウマを持つ充は葛藤し、ハチに対し酷い仕打ちを繰り返す。それでもハチは「充の傍にいられないなら殺処分のほうがマシです」と充を求め、充を守り、命も顧みない。そんなハチの健気な姿が大きな見どころ。

特に、充に撫でられ顔を赤らめて嬉しそうにする顔、充を守ったときのドヤ顔、ケンちゃんに焼き餅焼いて牽制するハチには萌え萌えキューン♡

ここはネタバレ

そして、充がトラウマを乗り越えハチの温かさを受け容れてゆく姿と、最後の『epilogue』でようやくしっかり心と体を通わせる二人の姿。

この終盤で「よかったね。これからたくさん幸せになって」と思わずにいられなかった。充には彼なりの、ハチを突き放さざるを得なかった理由もある。大きな体で充に従うハチの姿は、性癖に合う人にはグッとくるハズ。