BL漫画感想・レビューブログ

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感想・レビュー

クールなヤクザの息子×純情なラーメン屋店長。
セフレ関係・共依存を続ける親友二人の、一途な愛と葛藤の交錯。

発売からわずか１が月余りで、Renta! では 星 4.6/5（196名）、シーモアでは 星 4.8/5（96名）、Amazon では 星 4.7/5（94名）という高い評価を獲得する人気作。

親友でありながらセフレ関係を続ける二人は、それぞれ相手を想うあまりセフレ関係を解消しようと考えている。しかし、本心が駆り立てる愛念がそれを許さない――そんな葛藤を描く切ない恋物語。

絵はスタイリッシュ、物語はドラマティック、言葉選びは洗練されている。じゃのめ先生の表現の巧みさを感じる印象深い作品だ。

じゃのめ先生といえば『黄昏アウトフォーカス』や『曲がり角に、犬』など青春恋愛譚の印象が強いが、今回は大人のラブストーリー。
と言っても、高校時代の回想シーンも効果的に描かれており、若き日の悩みや恋心などの心情描写からどんどん感情移入させられてしまう。

主人公の丘は、卒業式の日からセフレ関係を続ける朱巳との関係を終わらせ、朱巳を開放してやりたいと思っている。セフレ関係が始まったのは、朱巳の優しさだと感じているのだ。

一方、ヤクザの家に育ち自らもヤクザとなった朱巳は、誰かの未来を守ることはできない、家族はいらないと思っている。ほとんど笑わない彼の目は、人生の半分を諦めているようにも見える。しかしその反面で丘に執着し、丘以外には何もいらないという程に一途な思いを募らせていた。

両者とも相手のためにセフレ関係を継続すべきでないと葛藤しているわけだが、そこに、“ある男” が登場し、二人の関係が動き始める。しかもその男、丘が「自分の初恋の相手かもしれない」と推察していたセンセーショナルな相手。このキャラが非常にいい味を出して、物語を盛り上げてくれる。

相手を思えばこそ身を引く切ない物語は決して珍しくはないが、ドラマティックな展開に加え、おとぎ話の『人魚姫』の世界観を通底させる構成や、印象的な雨のシーンが幾重にも描かれるなど、じゃのめ先生ならではの独創的な作品に仕上がっている。

色気と成熟しきれない初々しさが同居した大人のラブストーリーは、とても切なくドラマティック。そして、卑猥に相手を求めるエロシーンさえも、何だか美しく見えてしまう洗練された作品だ。

また、修正は１か所トーン、後ろの穴は修正なし。その他は絵の一部としてのトーンで表現され、局所的な修正が施されていないため、違和感なく読めるのも良かった（シーモア）。

二人の未来をもっと見ていたい、幸せな読後感でした♡

おすすめ要素

個人的好みと理解力の及ぶ範囲で挙げる、桃みるくのおすすめポイント！

クールなヤクザの息子×純情なラーメン屋店長。親友でセフレな二人の共依存BL！

色気と初々しさが同居した大人の、一途な愛と葛藤が交錯するラブストーリー。

スタイリッシュな絵、ドラマティックな展開、洗練された言葉選び。じゃのめ先生の表現の巧みさに感嘆する人気作！