著者 | 吾妻香夜 |
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出版社 | 心交社 |
レーベル | Chocolat comics |
シリーズ | ラムスプリンガの情景 |
発売日 | 1巻:2020/06/26 2巻:2022/09/15 |
価格 | 1巻:770 円(税込) 2巻:814 円(税込) 2巻特装版:1144 円(税込) |
ノスタルジックな情景、窓の外まで緻密に描かれた絵の中で、葛藤しながらもゆっくり惹かれ合い変化していく、純粋な二人の愛がとても魅力的な作品。
優しく、切なく、人生をも考えさせられる深い愛の形。
読めば心温まる傑作。2020年を代表するBL作品のひとつになること、間違いなし!
- 目を背けていた過去さえ乗り越える、二人の深い愛を覗いてみたい!
- ノスタルジックで優しい、印象的な物語が読みたい!
- 感情の変化や間の取り方が丁寧に描かれた作品が読みたい!
概要と評価
概要
ジャンル・設定 | 人間ドラマ|年の差|攻め視点|歳の差|再会 |
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トーン | シリアス |
エロ度 | エロ少なめ |
修正* | トーン+白ペン |
プレイ(一部) | オナニー|アナル開発|正常位|バック|測位 |
重点 | ストーリー重視 |
エモーション | 切ない|泣ける|考えさせられる |
場所 | 外国(アメリカ・NY) |
時代 | 1973年~/1992年 |
ページ数** | 1巻:230 p. 2巻:233 p.(特装版) |
メディア化 | - |
BLアワード | このBLがやばい! 2021 7位|BLアワード 2021「BEST コミック」3位 |
* ** 電子書籍シーモア参照。修正の呼称は上図。
** 表紙含む総ページ数。
個人評価
ストーリー | |
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ラブラブ度 | |
心情描写 | |
キャラクター | |
絵 | |
背景 | |
インパクト |
カップリングと登場人物
攻
受
脇役・当て馬
高校生。夏休み中、NYに住む伯父・トレヴァーの書斎で一冊の手記を見つける。
トレヴァーの元婚約者で親友。トレヴァーに親愛の情を持っている。
作品紹介
親愛なるジーンへ 1
同時収録作品
カバー下(イラスト/あとがき) |
電子書籍シーモア参照。紙・電子・書店によって異なる場合があります。
あらすじ
NYに住む伯父・トレヴァーの書斎で一冊の手記を見つけたジーン。そこには、自分ではない「ジーン」について綴られていた。
Chocolat comics
……1973年。弁護士のトレヴァーは重要な書類を紛失する。雪が降りしきる中、それを届けてくれたのは清掃員していたジーンだった。ボイラー室で暮らしているという、見るからにみすぼらしい彼を放っておけず、トレヴァーはお礼も兼ねてハウスキーパーをしないかと持ちかける。まるで中世からやってきたような世慣れなさに反し、教養を感じさせる美しい元アーミッシュの青年ジーンとの同居生活は、ゲイであるトレヴァーに羨望と穏やかな幸せをもたらすが……。
大ヒット作『ラムスプリンガの情景』へとつながる、もう一つの愛の物語。
親愛なるジーンへ 2
あらすじ
NYの弁護士・トレヴァーと元アーミッシュの大学生・ジーンが同居して2年。ジーンはカナダの大学教授が自身のエッセイに興味を持ってくれたことを知る。優しく頼りになる恋人との愛に溢れた暮らしに不満はなかった。でも、NYは故郷ペンシルバニアからたった200マイルの場所でしかない。もっと広い世界を見たい、カナダで学びたいという気持ちは日ごとに募っていった。ジーンの物思いに気づいていたトレヴァーは彼の選択を祝福するが、内心穏やかではいられず……。そして1992年。トレヴァーの甥・ジーンは手記を読んでいることが伯父にバレてしまい……!?
Chocolat comics
同時収録作品
イラスト(1 p.) |
あとがき |
完結記念小冊子(特装版) |
電子限定描きおろし(2 p.) |
電子書籍シーモア参照。紙・電子・書店によって異なる場合があります。
ストーリー紹介
あなたは私の神さま 永遠に愛するひと
1992年、夏。苦手意識を持っていたNYに住む叔父・トレヴァーの元で夏休みを過ごす事になったジーンは、書斎に自分ではない「ジーン」についての手記を見つける。
1973年、冬。
弁護士のトレヴァーは、重要な書類を紛失してしまう。届けてくれたのは清掃員のジーン。
ジーンは、「人に知られない方が貴方に都合がよいのでは…と思って…」と雪の中、半日かけてトレヴァーを探し、見返りも求めず書類を渡す。
トレヴァーは、ボイラー室で暮らしていると言う彼を放っておけず、ハウスキーパーをしないかと持ちかける。
こうして始まった青年ジーンとの同居生活。それは、強く抑え込んできたトレヴァーの心に火種を生むことになる。
感想・レビュー
互いを「あなたが神さま」と尊ぶ、かくも愛しい物語。
この作品は、2018年発行『ラムスプリンガの情景』で、俗世で暮らすことを選択したダニーの兄・ジーンの物語。
どちらかだけでも存分に楽しめるが、両方読めば魅力は何倍にもなる。
ノスタルジックな情景の中、デジタル化が進んだ世界とは異なる時間の流れに乗せ、葛藤しながらもゆっくり惹かれ合う二人の愛の形がどこか高潔にも見えるとても魅力的な作品だ。
背景は窓の外の景色まで緻密に描き込まれ、時々文字を追う目を止めて見入ってしまう。丁寧な背景がイメージを広げ、感情移入をより強いものにする。
主人公のトレヴァーは、自分の心を強く抑え込んで生きてきた。それをよく示した言葉がこれだ。
「私は恵まれている。これ以上望むことなど何も無い。あってはならない」
と、自分を抑えてきたトレヴァー。しかしジーンによって、優しく、温かく、閉ざされていた心の扉が開かれていく様子は、しみじみ心にグッとくる。
この物語は、敬虔なキリスト教徒であるアーミッシュを取り上げていることもあって、「神さま」という言葉が繰り返し使われる。たとえば以下は、冒頭のトレヴァーによる手記。
一方、決死の覚悟でトレヴァーに語りかけるジーンの言葉。
しかしこの時ジーンは、アーミッシュが遣う言葉、ペンシルベニア・ダッチで語られており、トレヴァーに直接的には伝わっていない。
しかし後に、トレヴァーもまた「あなたは私の神さま 永遠に愛するひと」と記すことになったのだから、お互いどれだけ愛おしみ、同じように相手を尊んでいたかが想像できる。
とはいえ言語は違っても、トレヴァーはジーンの言う言葉の意味を感じ取っていた。そしてジーンを受け入れた後、「神さま」をキーワードとした自分の過去の記憶と重ね、涙する。この時、背景の壁に飾られている絵画が、このシーンを象徴的に描き出していた。
以下がジーンの言葉を聞いてトレヴァーが涙した、過去の記憶に残る言葉。
これは幼い頃の記憶。「神さま」という言葉が繰り返し使われてはいるが、その一つ一つがとても重く尊い。
この作品の本編に当たる『ラムスプリンガの情景』には、テオの幼なじみの回想で、ジーンがニジマスの話をするシーンがある。このときジーンは、
海へ出てみたいな…
と語っていた。まだ幼い少年のときに。
既に大海への憧れを持っていた。
本作『親愛なるジーンへ』には、この日から繋がるテオとの回想シーンも描かれている。
登場人物たちが感じていた愛しさの深さが読者の心にも伝わり、とても温かく、しみじみと心を揺さぶる作品。BL界に新たな傑作がまたひとつ誕生した。
ココが性癖に突き刺さった!
- 乗り越えられずにいた過去を持つ似た者同士の二人が、徐々に解放されて変わっていく姿に涙。
- 相手を思い、決死の覚悟で告白するジーンに激萌え!
- 二人が結ばれる時の一連の表情に悶絶!
おすすめ要素
個人的好みと理解力の及ぶ範囲で挙げる、桃みるくのおすすめポイント!
ノスタルジックな情景、窓の外まで緻密に描かれた絵の中で、葛藤しながらもゆっくり惹かれ合い変化していく、純粋な二人の愛がとても魅力的な作品。
優しく、切なく、人生をも考えさせられる深い愛の形。
読めば心温まる傑作。2020年を代表するBL作品のひとつになること、間違いなし!
- 目を背けていた過去さえ乗り越える、二人の深い愛を覗いてみたい!
- ノスタルジックで優しい、印象的な物語が読みたい!
- 感情の変化や間の取り方が丁寧に描かれた作品が読みたい!