著者 | 麻生ミツ晃 |
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出版社 | 海王社 |
レーベル | GUSH COMICS |
シリーズ | - |
発売日 | 2020/03/10 |
価格 | 891 円(税込) |
BL界屈指のストーリーテラーによる、愛と苦衷の切なきオメガバース作品。
身命を賭した愛、癒えぬ苦衷。そこにミステリー要素が加わり、物語はより重厚に仕上がっている。
これは都合の良いオメガバース設定ではない。オメガバースの世界に一石を投じる作品だ。
- ストーリー、構成、鬼背景を含めた絵、キャラ設定。何もかも完成度が高い、凄い作品が読みたい!
- 最後まで目が離せない展開に、感情を揺さぶられたい!
- BLにミステリー要素が加わった贅沢な作品!?興味ある!
概要と評価
あらすじ
小説家の円と警察官の吐木は、同じ施設で育った”同志”で”番”。円はフェロモン分泌が異常で番以外の人間もそのフェロモンを感知してしまう上、番関係を結んだことで遺伝子変化が起こり、一般の抑制剤も効かなくなっている──そう、振る舞っている。何も知らない吐木は円を支える為と出世を蹴り続け、所轄への異動初日に担当することになったのは、Ωを狙ったレイプ事件。そんな中、円は発情期に入り強烈なフェロモンを発しながら吐木を求める──まるでΩのように……
GUSH COMICS
同時収録作品
家に帰る日(描き下ろし) |
カバー下イラスト |
省略形でおねがいします(電子限定かきおろし漫画) |
電子書籍シーモア参照。紙・電子・書店によって異なる場合があります。
カップリングと登場人物
攻
受
脇役・当て馬
警部補。鷺沼元警視監の息子。幸村が所轄への異動初日に担当することになった事件でバディを組んだ。
化野円の新しい担当。Ω。円のファンで、何度も担当を志願してきた。円にまた小説を書いて欲しいと願っている。
ストーリー紹介
俺がΩだったなら、お前を幸せにできたのに――
警察官の吐木は、フェロモン分泌が異常な番・円のために出世を蹴り、三か月に一度のヒート中は仕事を休んで傍で守っている。円を深く愛する吐木だが、円の様子を見て「いつも“俺から逃げたい”って顔してる」と感じていた。感想・レビュー
BL界に新たな傑作誕生。
身命を賭した愛と、癒えぬ苦衷の切なきオメガバース!
帯には「BL界屈指のストーリーテラーが贈る、後悔と欲望入り交じるミステリアスオメガバース」と書かれている。この作品を語ろうとすれば、この言葉に集約されると思う。
改めて麻生ミツ晃先生を “ストーリーテラー” と呼ぶにふさわしいと思ったし、“BL界屈指” と言って過言でないとも思った。“後悔” “ミステリアス” というのも、この作品全体に横たわるキーワード。
ここは感想ブログなのに凄くバカな発言だけど、「とにかく読んでみて!」と言いたくなる作品。なぜなら、少しでも内容に触れようとすると、重大なネタバレになるし、物語が崇高だから下手な感想を言いたくないという……。
それでも及ばない頭で、帯の言葉に自分の感想を含めて一つ付け加えさせてもらうと、ありきたりだけど、愛。“愛の深遠” 。
BLだから愛なんて書くまでもないかもしれない。帯の “欲望” という言葉に、愛も含まれているのかもしれない。
だけどわたしには、二人の愛は欲とは違うもののように思えたし、言及せずにはいられない強烈な愛を感じた。二人にしか分からない深い愛が導因となり、様々な要素が絡み合って、物語は一筋縄ではいかなくなる。
円は、幸村に重大な嘘をついている。その嘘を押し通すため人生をかけ、嘘を演じ切っている。その理由も幸村を愛するが故のことだ。
円は誰にも読まれないようパスワードをかけ、パソコンのファイルに自分の思いを書き綴っていた。このファイルだけが、円が本心をさらけ出せる場所かもしれない。その中に、以下の記述がある。
かけ違えたボタンのように 簡単に
取り戻せるものと 戻せないものがあって
この記述は作中二度登場するが、一度目は、やるせない気持ちと同時に、まだ全体が明かされない段階の捨てられない希望と共に読んだ。
しかし二度目は、円がなぜその考えに至ったかを知り、暗澹たる気持ちの中で読むことになる。
二人の愛の深さと幸村の苦衷を知るほど、簡単でないと分かり希望が薄れていくのだ。しかし最後には、その気持ちまでもが大きく反転する。
わたしはあまりにも物語が重厚過ぎて、何度も休みながら読み進めた。それだけ心の深いところに入り込んでくる物語なのだ。
ストーリーだけではない。キャラクターに感情移入させる力が凄い。それはキャラクター設定の力なのか、構成の力なのか、絵の力なのか、彼らを応援したくて幸せになって欲しくてたまらない。それだけに、ラストに至る物語の反転までの心の動きが激しくて、大きく心を揺さぶられた。
この作品は、次のBLアワードに名が挙がる作品であることは間違いない。オメガバースというジャンルに、BL界に、また新たな傑作が生まれた気がする。麻生ミツ晃先生に、感謝。
それにしても、円先生の小説、きっと数多くの人の心を癒して大ヒットするんだろうな……社会現象が起きるんじゃないか。物語はここで終わるから素晴らしいんだけど……願わくば、成功する姿を見届けたかった。(暗に続編希望。笑)
ココが性癖に突き刺さった!
- キャラクター達に感情移入させるパワーが凄い!揺さぶられる!
- 円はツンデレ。誰よりも何よりも深く幸村を思ってる!
- 最後まで夢中が止まらないストーリー展開!その構成力!圧巻!
おすすめ要素
個人的好みと理解力の及ぶ範囲で挙げる、桃みるくのおすすめポイント!
BL界屈指のストーリーテラーによる、愛と苦衷の切なきオメガバース作品。ど身命を賭した愛、癒えぬ苦衷。そこにミステリー要素が加わり、物語はより重厚に仕上がっている。
これは都合の良いオメガバース設定ではない。オメガバースの世界に一石を投じる作品だ。
- ストーリー、構成、鬼背景を含めた絵、キャラ設定。何もかも完成度が高い、凄い作品が読みたい!
- 最後まで目が離せない展開に、感情を揺さぶられたい!
- BLにミステリー要素が加わった贅沢な作品!?興味ある!