BL漫画感想・レビューブログ

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感想・レビュー

強気クールな家具職人×本気の恋を知らないエリートリーマン。
大人同士の情感ラブ♡

これは＂官能＂をくすぐられると言えば良いのでしょうか。＂エロ＂という直接的な感触だけでなく、内側からゾクゾクさせられる感じ…この空気感を出せる作家は本当に宝です！

寡黙でプライドの高い久遠。彼の心は矛盾と二面性を孕み、本当の自分を晒し過ぎるのはみっともないと覆い隠している。

そんな久遠の、心と体を覆うものを少しずつ剥がし、徐々に乱れていく姿を堪能できるのがこの作品の魅力だと思う。

基本的に久遠視点で描かれ、彼の内面の動揺や逡巡の様子を観ることになるが、山場で佐藤の視点に切り替わり、攻め視点から久遠を眺める場面が用意されている。

このため攻め・受け両方の感情や、それぞれが見ている相手の姿がダイレクトに伝わり、これが否応なく読者の情感を刺激する。激しく動く心はもう度し難い（笑）。

折り目正しいスーツでやらしい煩悩を覆い隠してきた久遠を剥いでいくんです！
そのギャップは、肉体的なことだけでなく内面のギャップとも相まって、本当に素晴らしい！

そして久遠を剥く大切な役割を果たすキャラクターがまた、タイプの違うイケメン・佐藤。

有名どころで言うと、古くはジェームズ・ディーン、『ビバリーヒルズ高校白書』のディラン（ルーク・ペリー）、最近では『13の理由』のジャスティン（ブランドン・フリン）的な目元を持つ、一見クールだけど放っておけないタイプ。

始めは軽い気持ちで久遠にカマをかけた佐藤だったが、佐藤の方も思いっきり久遠にハマってしまう。だから「久遠は決して遊ばれているのではない」という安心感もあり、ますます二人の世界を甘～く堪能できる。久遠と出会った時の佐藤は強気で不遜な印象だったけど、実は、相手の心を読むのが上手く気配りのできる優しい人。

久遠の表情や目線、手の動きなどがぎこちなくて一生懸命で…エリートだけどウブで不器用な、本気の恋。「ギャップ萌え」も甚だしい。

彼の仮面の厚さはきっと、幼い頃に自己肯定感を得られなかったことの裏返しなのかな。人の気持ちを察することに長けた佐藤なら、久遠を幸せにしてくれるはず。

「存在自体が官能」と言いたくなる二人が存在するだけで、この作品の価値は決まったようなもの。そこに、彼らを最大限に引き立てるシンプルなストーリーと、久遠の心理を看取し感情移入を促す回想。それ以外の余計な展開はない。

ただひたすらに、二人の熱情に没頭することができる。未読の方はぜひ、彼らの駆け引きを楽しんで下さい！

おすすめ要素

個人的好みと理解力の及ぶ範囲で挙げる、桃みるくのおすすめポイント！

官能をくすぐられてゾクゾクする！

本来の自己が固く閉ざされたエリートサラリーマンの久遠は、初めての恋に戸惑う。そんな久遠の心と体を覆うものを剥がし、恥じらう彼をトロトロに変えてゆく――。

久遠を剥がすのは、ジェームズ・ディーン風の目元を持つ、強気クールなイケメン・佐藤。佐藤の熱情と優しさで、久遠が溶ける様子をたっぷりご堪能下さい！