2017年末、突如直滑降で沼に落ちた桃みるくです。
夜眠る前にベッドにもぐると Kindle Unlimited の中から本を選び、眠くなるまで読み耽ることが習慣となっていた当時、画面に表示されたBL漫画が目にとまり、深く考えることもなくページを開いたのが腐化の始まりでした。
初めて読んだBL漫画は、本仁戻先生の『探偵青猫』。衝撃を受けました。もしこの時開いた作品が本仁戻先生のものでなかったら、BLの魅力に気づけていたかどうか分かりません。わたしは本仁戻先生が筆を折るまで付いて行くと決めてしまいましたし、本仁戻先生は、いつまでも特別な存在であり続けるでしょう。
とはいえ、BL界の才能は目を見張るものがあり、毎年とてつもない作家がデビューされては「おいおいこれで新人かよ!」と驚かせてくれます。一体どんな勉強をしてどんな体験をしたらこんな作品を生み出せるの?
絵が巧みな作家、物語で唸らせる作家、ギャグや癒しで悩みや疲れを吹き飛ばしてくれる作家、それぞれの魅力や持ち味。
見方を変えると、西洋絵画のようであったり、バンドやオーケストラなどの音楽のようであったり、 詩のようであったり、 日本文学のようであったり、映画や舞台やドラマのようであったり……表現の色合いや個性は様々です。
これらの比喩は決して誇大ではなく、それぞれ作者や作品名が思い浮かぶBLファンも多いはず!それくらい、BL漫画の世界は深く広かったのです。
BL漫画と出会って始めの二年近くは超暇人だったので、ほぼ毎日十冊以上読んでいましたが、何千冊読んでどんな感想を持ったのか分からなくなってしまいました。
読んだ作品を、一作一作大切に記録しておきたい。作品は、時代の要請によって現れ方が変わり、そして読み手側も、時代や年齢によって感じ方が変わります。その時どんなに感激した作品なのか、丁寧に書き残しておきたい。などと当初から思っていたのですが、来る日も来る日も読むのに夢中で時間は過ぎ去り、既読書は情熱に比例する速さで増えていきました。
しかしようやく本を読む手をいったんパソコンに向け、書き始めることにしました。
BLの魅力が少しでも誰かに伝われば一番嬉しいけれど、そんな大層な夢は一旦脇に置き、「どんな内容だったっけ」「この頃のわたしはまだまだ青かったな」などと、後から読み返してはニヤニヤするのが主な目的です。
それでも……やっぱり本音を言うと、いつか誰かに「読んでみようかな?」と思ってもらえる日が来たなら、こんなに幸せなことはありません。
二〇二〇年三月
桃 みるく