著者 | ためこう |
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出版社 | 祥伝社 |
レーベル | on BLUE comics |
シリーズ | - |
発売日 | 2016/02/25 |
価格 | ¥650(税抜) |
美しい絵と、絵の印象とは異なる歪んだ執着愛の融合が、他にない魅力を放っています。
読者を裏切るストーリー展開は、最後の最後まで目が離せない!
ぜひ、一コマ一コマ楽しんで下さい。
- 美しい執着愛が見たい!
- 実の兄弟の物語が見たい!
- 物語の起承転結をしっかり楽しみたい!
概要と評価
あらすじ
優等生弟とウリセン兄。
on BLUE comics
世界に二人だけならよかった――。
両親を早くに亡くし、二人暮らしの橘(たちばな)兄弟。
しっかり者で真面目な弟・秋生(あきお)は、男に体を売って金を稼ぐ兄・元春(もとはる)に恋をしている。
秋生が兄の乱れた性生活を不満に思わないのは、兄がいつか誰からも見捨てられた時、側にいられるのは自分だけだと信じているから――。
巨弾新鋭・ためこうが放つ、業深き兄弟の歪な執着愛。
同時収録作品
Bonus Track(描き下ろし) |
感想・レビュー
「一緒に沈もう」業深き兄弟の歪な執着愛!
可愛く端正な絵と病み系ストーリーの融合で、独特の魅力を放つ良作。
ためこう名義でのデビュー作。
優等生の弟とウリセンの兄は、“実の” 兄弟。
弟は兄に恋することを隠し「いい弟」を演じ、兄は亡くした両親に代わってウリセンで弟の学費を賄う。二人は一見けなげな兄弟に見えるが、読む先には読者への裏切りが待っている。
作品を通して印象的なことは、弟視点から描かれる兄への執着愛。感情の動きや執着の深さが丁寧に描かれ、冷静に考えると完全に病みレベルなのに何故だか美しい。
ためこう先生は、『泥中の蓮』に対するこだわりについて、ちるちるのインタビューで以下のように答えている。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう?
ちるちる
主人公である弟の心情を全開に描いたところです。何が何でも最後は自分の物にする! という弟のがむしゃらな感じを、「こんな弟は怖いなぁ」と思いながら描いていました。
このこだわりは狙い通り作品に反映されており、兄を自分のものにするという怖くてがむしゃらな弟の姿がとても熱い。
ストーリーは最後の最後まで目が離せない。だが、誤解を恐れずに書くと、もしこの絵でなかったらと想像すると全く色褪せてしまう。ためこう先生の絵だからこそ、『泥中の蓮』は魅力的な作品として完成しているのではないか。正直、エピローグを読んだ後では「おや?」と思うところがいくつかある。しかし、それを超えて堪能してしまうのだ。「こまけぇこたぁいいんだよ!!」である笑
他のどの作家とも似ていない顔、印象深い睫毛、カラーの独特な色使い…とても魅力的だ。中でも丸い頭部と大きく美しい目は、人が赤ちゃんを庇護する本能としてインプットされている要素と共通して誰もが無意識レベルで好きになってしまうが、それが少年・青年男性として違和感なく描かれるのが凄い。
タイトルの『泥中の蓮』とは、仏教の『維摩経』由来のことわざで、汚れた環境の中にいても、それに染まらず清く正しく生きるさまのたとえとして使われる。確かに物語はそのタイトルのままに進んでいくように見えるが、読後どのような感想を持つかは、人それぞれの解釈があるはず。ゆっくり思いを巡らせるのも楽しい。
先生のお宝ツイート
以下、ためこう先生がTwitterで披露して下さったイラストを張り付けておくので、存分にご堪能を~♡
おすすめ要素
個人的好みと理解力の及ぶ範囲で挙げる、桃みるくのおすすめポイント!
美しい絵と、絵の印象とは異なる歪んだ執着愛の融合が、他にない魅力を放っています。読者を裏切るストーリー展開は、最後の最後まで目が離せない!
ぜひ、一コマ一コマ楽しんで下さい。
- 美しい執着愛が見たい!
- 実の兄弟の物語が見たい!
- 物語の起承転結をしっかり楽しみたい!